雛子の毎日

60代主婦の泣き笑いの毎日

美容室って特別

私の母は美容には興味がない人。

みっともない格好はしないけど

美容にお金をかけるなんて、という人。

時代的にもそうだったのかな。

母に褒められたい、認めたられたい私は

美容にお金をかけないが良しとしてきた。

 

食うに困るわけではなかったが、

実を言うと5年ほど前まで

いわゆる格安千円カットのお店で髪を切っていた。

白髪が出産を機に一気に増えたので

もちろんホームカラー。

でも元来不器用なので

髪は染め残し、

洗面所の壁ばかり染まってしまう状態で。

割り切って諦めて美容室で染めてもらうことにした。

 

だけどやっぱり格安サロン。

手早いが雑い。

染め残しはあまりないが、うなじや耳たぶ

額の生え際にカラー材を付けらること多発。

出かけるのも嫌になるほど付けられたこともあり、

それでも格安サロンだし文句を言うのも言えなくて。

もう50代になるんだし、

子どもたちもそろそろ学費も終わる。

ちょっと贅沢しようかな、と。

ネットで色々美容室を探してみた。

家の近く=田舎

ではあるものの、そこそこおしゃれで

値段もそんなに高くない美容室を探して行った。

 

そこはスタイリストの指名ができるが

指名料がかかるので指名はせずに。

 

やっぱりスタイリストによって、

手が変わると仕上がりや

次の予約までの1か月の過ごしやすさは違う。

違うけれど、格安サロンよりは

待ち時間にコーヒーが出たり、

雑誌もオシャレ。

室内ももちろん美容師さんたちもおしゃれ。

 

指名をしなかったことで

毎回違う人が担当してくれ、

スタイリストなりたての若い人のときも

同年代のベテランさんのときもあった。

どの人も感じよくせっしてくれたし、

専用の担当者がいないことで、

シャンプーなどの勧誘もされなかった。

 

たまにハズレと思うスタイリストの時もあったけれど

かなり満足していた。

だからこそ5年も通ったわけだ。

 

ある時ふと気づくと、

美容師さんがどんどんお腹が大きくなり

次々と産休になっていった。

 

そんな時、特に指名をしない私には

スタイリストデビューしたばかりらしい

若い男性が4、5回続けて担当してくれた。

指名もしなかったのに。

まだ経験は浅いので

見る人が見たら下手なのかもしれないが

私には不具合はなく、

むしろ一生懸命で丁寧に仕事をしてくれる。

カラーがどこかにつくようなことはもちろんないし、

カラーがつかないように塗るクリームが落とし残っていることもなく、

髪の毛がついていたこともない。

 

何回か続けて担当してくれたので、

「前回からの1か月で何か不具合はありませんでしたか?」とかいわれ、

そうか!同じ人にしてもらうということは

その人が責任持って担当してくれるのか、

とさらに満足していた。

 

それならそろそろ彼を指名しようかな、

そのほうが、同じ美容室に行くことに

同じお金を払うことに

たとえ僅かな指名料が発生してもお得じゃないか?と。

 

会計を済ませて次回の予約をして、

次回から指名したいと言おうとしたら、

彼はその月末から

同じ系列の本店に帰ることになったと。

産休のスタイリストさんが増えて

ヘルプに来ていただけだったと。

 

それはお世話になりました、

今までありがとう、とお互い丁寧に挨拶して帰った。

来月からまた誰も指名してないし

違う人がしてくれるんだな、と。

 

帰宅してから、結構気に入っていた彼に

もう担当してもらえないのか、

当たり外れがあって、たまにクリームが落ちてなくて生え際や頸がベタついていたり、

細かい髪の毛が洋服についていたりすることもあるかもな、と思うと、

車でも電車でも40分くらいかかるけど

本店に通おうか。

いや、美容室は便利が1番。

それ以前の格安サロンよりは何倍もいいのだし、

無理して遠くのサロンに行くのが

しかも指名してとなると

それがめんどうになることもあるだろう。

三日三晩悩みに悩んだ。

 

そして、月に一回

贅沢に自分に時間をかけてみようじゃないか、と。

嫌になったら何とでもなる、

何なりと理由をつけて行かなくなればよいのだ。

美容室なんていくらでもあるのだし。

 

意を決して予約したサロンにキャンセル。

本店に行くと言うと、安心したようで、カルテも送っておきます、と。

そして本店に予約をし、

その彼を指名。

 

1か月後、初めての本店に行くと、

彼は指名されたことを素直に喜んでいた。

 

あまり考えてなかったけど、

そのサロンは結構しっかりしていて、

オーナーご夫妻がしょっちゅう見回りにきて、

いい意味でしっかり目を光らせている。

結構、アタリの美容室だった。

 

それと、家の近くだった支店に通っていた時は

近所だし、買い物帰り、カジュアルな普段着で行っていたが、

本店はちょっと都会だからお店自体も少しおしゃれ。

なので、何かのお出かけのついでに行くにしても

ちょっとオシャレしていい服を着ていく。

そうすると、担当者以外の美容師さんからも

オシャレですね、素敵ですね、なんて

お世辞だとしても言ってもらえて。

 

わざわざ彼を指名して遠くから来てくれる人ということで、

担当者の彼もちょっと嬉しそうで、

だからこそ一生懸命丁寧にしてくれる。

 

本店の方が料金設定は少し高いのだが、

シャンプー台やドライヤーなども設備が最新のもので

つまり、居心地いい。

 

結局のところ、値段が上がっただけの値打ちはある。

いや、それ以上かもしれない。

 

若いとき、もっとオシャレできて

もっと綺麗だったのに、

格安サロンでおばあちゃんに混ざって雑いカットをしていたなんて。

本当になんて勿体ないことをしていたのだろう、と

今はただ後悔している。

 

今から美容室に通う楽しみを

十分に味わいたい。