雛子の毎日

60代主婦の泣き笑いの毎日

はなちゃんの味噌汁

はなちゃんの味噌汁という映画があった。

何年前だったか覚えていないが。

 


広末涼子が幼稚園児の娘の母親役で

余命宣告される。

まだ幼稚園児の娘に後半年で

何が残せるだろか、

どんな母との思い出を娘に残せるだろうか、

考えた末に、

味噌汁を1人で作れるようにすることにした。

 


味噌汁さえ作れたら

ご飯なら誰でも炊ける、

おかずは出来合いのものでも良い。

出汁からきちんと作った味噌汁があれば

食卓が豊かになる。

味噌汁が作れたら後はなんとかなる。

 


そう考えた余命半年の母は

体力が続く限り毎日毎日

幼い娘に鰹節を削るところから出汁を取り

味噌汁を作る。

 


最初は喜んで作っていた娘だが、

遠足の後だったり、

遊びに行った日なんかは疲れてしまったり

おばあちゃんや叔母さんがいらした時などは

まだまだ遊びたくて

味噌汁を作るのを嫌がる。

 


嫌がる娘に無理やり味噌汁を作らせるのをみて

幼児虐待じゃないか、

子どもは母の奴隷じゃない

母が体調が悪いのを八つ当たりしてるんじゃないか、

家事が大変なら人の援助を求めたらいい、

などなど、的はずれなことや心無いことをいう人もいた。

 


だが、母は辞めなかった。

これは母と娘に残された時間の戦いだと。

 


さてさて。私は余命宣告もされておらず、

娘も幼稚園児ではなくアラサーだ。

 


今まで殆ど何もさせてこなかったので

去年のコロナから少しずつ家事を教えている。

 


母娘だとお互い甘えもあり

なかなか進まない。

娘の仕事が忙しくなったり

疲れ果てている姿をみると

ま、今日はいいや。となる。

 


が、そんな亀の歩みでも

味噌汁しか作らせていなかったのが

先月は中華スープを、

昨日はコンソメスープを作らせた。

 


娘にさせると

台所が混雑して夕食の支度が

余計に捗らず

洗い物も増えて二度手間なのだが、

本当に娘に何を残せるか、と考えると

はなちゃんよりもっとハイスピードで

料理を教えておかねばならない。