雛子の毎日

60代主婦の泣き笑いの毎日

お向かいさん

お向かいさん、とはいえ

前のさして広くもない道路をはさんで

町名も変わるし、自治会も違うので

そう親しかったわけではない。

 


お子さんがうちより二つ下で

幼稚園のバス乗り場が一緒で

1年間バス停でご一緒した程度。

 


お向かいさんは

亡きおじいちゃんの代に

地元産業の家内工場をされていて

母屋、息子さん夫婦(私たちと同年代)の離れ、

そして工場があった。

 


2年前の春頃からまず工場の片付けが始まった。

「綺麗にしてますね」とか一言二言話した記憶はあるが、

曖昧に微笑まれただけだった。

夏の間かけて片付けが進み、

母屋も片付けをされたようだ。

1年後くらいには生垣や植木が

さっぱりしすぎじゃない?くらいに刈られた。

 


「お向かいさん、もう誰も住んでないみたいやな。」とモラ夫。

それが去年の夏頃だった。

 


元々道路挟んで自治会も違うし、

田舎なので、それぞれ自宅から車に乗って出かけてしまえば、

ご近所といっても顔を合わせることも少ない。

犬でも飼っていれば

似たような時間に散歩に出たりして

顔を合わせることもあるし、

畑や田んぼがあれば

そこで顔を合わせることもあるだろうが。

 


門柱や玄関に電気がついていたし、

全く気づかなかった。

 


モラ夫がいうに、

日曜日などたまにご主人一人で

家の様子を見にきているようだ。

建物があったら固定資産税もかかるのに、とモラ夫。

 


先日、何やら外が賑やかだと思ったら、

お向かいさんに工事の車が入っていた。

生垣や植木を抜き、門柱を壊すのはあっという間だった。

次第に母屋も工場も離れも

潰されていく。

 


売ってしまって処分したのか、

はたまた新しく家を建て直して、

またこの土地に帰ってくるのか。

お向かいさん、田畑は持たないようなので

不便なこの地に帰ってくる必要はない。

お子さんも独立したようだし

ご夫婦ふたり、便利な場所に移られたのかも。

 


自分のことも考えると、

モラ夫は絶対に生まれ育ったこの家を離れたくないと言う。

が。いずれ亡くなる。

息子はまずこの土地に帰ってこない。

息子は、この家を相続したところで売ってしまうだろう。

相続すら放棄するかもしれない。

 


娘は、この先結婚する人にもよるし。

 


私はモラ夫を見送れば

ここを処分して

実家に住みたい。

ここより便利だから。

 


だけど、実家は広すぎる。

両親が今いる母屋と

今は出てしまった妹が結婚する時に建てた離れもある。

 


希望としては

娘夫婦と私が

母屋と離れで暮らせたら嬉しいが。

世の中そんなうまくいかない。

 


1人になったら、売れるものは売ってしまって

ケア付きマンションか

一人でアパートにでも住みたい。

広すぎず、

管理も簡単な。

 


モラ夫を見送るつもりだが、

そう問屋がおろすのか?

 


亡き姑もずっとそんなことを言っていたが

舅が入院・入所すると同時に自分も。

舅が半年後に亡くなったが

その後7年間も寝たきりの末に亡くなった。

舅を見送ったあとやりたいと言っていた事

何一つできないまま。

だから自分も根拠ない予定は立てないように

今を大切に楽しく生きなくては。

 


お向かいさん、どうなったのかな。

意外と無干渉無関心なんだよね、田舎って。