雛子の毎日

60代主婦の泣き笑いの毎日

救出したフランス人形

長年、納戸に埃を被ったフランス人形かあった。

ケースに入っているので埃を被っているのはケースだが。

 

私が結婚した頃。

まだ仲人をたて、

結納を執り行い、

新郎側、新婦側それぞれに親戚が招待され

お祝いの席が行われた。

 

仲人が午前中早めに新郎側に行き

結納金と結納の品々

夫からの婚約指輪、

姑からの留袖の反物と帯。

あとは飾り物だ。

新郎側が新婦側送られた結納金

1割を仲人に手間賃として渡す。

仲人はそのお金で新婦に人形を

お祝いとして渡す。

 

最終的に仲人には結納金の1割を

結婚式が滞りなく終わったお礼に渡す。

 

当時仲人からいただいたのはフランス人形だった。

普通、日本人形や木彫り人形なのに

随分ケチられた、と父母は怒っていた。

その仲人は姑の親戚だった。

 

私が嫁入りに持参した箪笥や長持は

何故か新品のまま納戸に入れられた。

納戸には他に

既に亡くなっていたモラ夫の祖母が持参した

箪笥や長持が入っていて

それと同じように入れられた。

姑の箪笥長持はちゃんと和室に

姑が亡くなった今でも鎮座している。

 

うちには応接間がなかった。

というか、応接間は舅の部屋になっていた。

リビングというものが嫁いだ時からなく、

テレビもエアコンもないダイニングで食事をしたら

舅は応接間に、姑は和室にすぐに引っ込んだ。

私が嫁ぐ前は夫はそのまま自室に帰ったらしい。

なんだか変な家族だった。

 

話が逸れてしまったが

フランス人形など、飾る場所が無かったのだ。

決して狭いマンションではない

田舎の9DK+DKなのだが。

 

結納の日から

母からケチられた安く上げられた人形、

あんなもの、と言われて

私も好きになれなかった。

だから納戸に入れられていても

あまり気にもしなかった。

モラ夫やモラ一族に嫌な気持ちになったり

その親戚の仲人がケチったフランス人形だと思うと

むしろ飾られることもなく埃を被っているのを

ざまぁみろ、くらいに思ったりした。

なのでそのまま

やたらデカいだけのフランス人形は

階段の飾りだなにすら飾れず

長年ケースに入ったまま

埃を被って納戸に入れられていた。

 

たまたま今日、仕事が休みの娘と

大安だったこともあり、

旧暦の4月3日を待たず

雛人形を片付けた。

 

その時にボソっと娘が呟いた、

フランス人形のこと。

娘は滅多に納戸には入らないが、

ずっとずっと気になっていたらしい。

あのフランス人形を救出してあげたい、と。

納戸で見かけるフランス人形が

寂しそうな目をしているのが

ずっと気になっていたらしい。

 

いくつか飾れそうな場所を考え、

埃を払い、

結局、和室の姑の和ダンスの上を少し整理して

その上に置いた。

玄関から見える場所だ。

少なくとも納戸にいるよりは良い場所だ。

飾ってみると

フランス人形の表情は可愛かった。

33年も納戸に閉じ込めてごめんね。

 

コロナ以降、あちこち片付けているが、

私1人ではなかなか手をつけられないでいたこと。

娘がいてくれてよかった。