雛子の毎日

60代主婦の泣き笑いの毎日

母の日

今日は母の日。

昨日、道の駅でカーネーションを買うつもりが

薔薇の方が安かったので 

薔薇とかすみ草を買って

玄関とダイニングテーブルに飾った。。

 


息子は相変わらず音信不通。

そのうち連絡先もわからなくなるかも。

もう死んだと思えば、

いや、そもそも産んでなかったと思えば

気にならず。

 


娘は一昨日パティシエのチョコを買ってきてくれた。

花より団子、有り難いです。

 


姑は既に亡くなり。

存命中も、カーネーションを飾ったり

少しご馳走を作ったり

ケーキを買ってきたくらい。

 


母には。

本当に苦労した。

 


思い起こせば、

母にプレゼントを初めて買ったのは

小学生の時。

地元では毎月28日にお寺の参道約1キロに

縁日が開かれる。

母はそういうのは嫌いで

家族で行ったことはなかったが

小学校の友人数名で

学校帰りに繰り出すことになった。

母はお小遣いとして多めに持たせてくれた。

おやつやジュースを買って

遅くなったら電車で帰ってきなさいと

余分に沢山持たせてくれた。

 


どうしても匂いに勝てず、とうもろこしを買った。

ジュースやアイスより高かったが、

母と来たらきっとスルーする品だ。

ふと、露店で孔雀のブローチが目に入った。

母に買ってあげたいと思った。

一目惚れだった。

安くはなかったが迷わず買った。

母にプレゼントすると言ったら

露店のおばちゃんは褒めてくれ、

きっと母が喜ぶと言ってくれた。

 


友人は、くじ引きや、輪投げをしたが、

喉が乾いてジュースを買ったら

もう残金はなかった。

 


帰りは電車賃もなかったし、

約3キロを歩いて帰った。

子どもだし平気だった。

それより母の喜ぶ顔が見たくて

孔雀のブローチを握りしめて早歩きで帰った。

 


どんなに驚き、喜んでくれるか、

電車賃も他のオヤツやくじ引きや輪投げなどの

自分の遊ぶお金を節約して買ったブローチ。

そうか、そうか、と涙ぐみながら聞いてくれる場面を想像しながら帰った。

 


いの一番に孔雀のブローチを差し出した。

 


どうしたの?これ。

 


買ったの。お不動さんで。他にも種類があったけど孔雀が一番綺麗だったの。お母さんに。

 


露店で?いくらしたの?

え?そんなにしたの?これが?

あんた、ぼったくられてるよ。

こんなもの。

こんなお金の使い方しちゃダメじゃないの。

残金はないの?

全部使ったの?

あんた、末恐ろしいよ。

将来、旦那さんのお給料、もらったらすぐに使って子どもの給食費も払えない親になるよ。

どうしてこんなもの買ったの?

こんなつまらないもの、そんな無駄に使って。

他に使わなかったんなら残金持って帰ってきて欲しかったわ。

足りなかったら困るからって多めに持たせたのに。

全部使うならもっと少なく持たせたらよかったわ。

 


ただ、お母さんに喜んでほしかった。

お母さんに買ってあげたかった。

 


そう言えなかった。

 


追い討ちをかけるように

ブローチや装飾品はね、百貨店や宝石店で

ちゃんとしたものを買うの。

露店なんかで売ってるもの

大人はつけて歩けないの。

あんた、自分で責任持って自分で付けなさい。

そう言って突き返された。

 


そのブローチは苦い思い出とともに

大人になるまで自分で保管し、

ちょくちょく付けていた。

 


母に褒められたこともある。

 


小学校の林間学校が高野山だった。

お小遣いは200円だった。

150円で母に弘法大師の根付けを買い

残りの50円で妹に可愛いうさぎの根付けを買った。

また無駄なものと怒られるかとビクビクしながらお土産を差し出した。

弘法大師さんだ。

良いものを買ったね。

褒められた。

 


孔雀はダメで弘法大師は褒められる。

その違いは小学生ではよくわからなかった。

ともあれ、記憶にある限り、喜んでもらえたのはこれくらいだった。

 


記憶はそれから随分先になり、

妹も私も結婚してから

母の日のプレゼントには困った。

 


一度カーネーションの鉢植えを贈ったことがある。

花みたいなもの、高いだけで。

鉢植えなんかあとあと水やりや

枯れたら捨てなきゃいけないし。

 


切り花にしてもあまり差はないだろう。

 


お取り寄せの食べ物を贈ったことも。

あんな高い物、そんな美味しいこともない。

箱や体裁ばかり。

 


着る物や持ち物も好みがあるし。

 


何が欲しいか聞いても答えない。

 


かと言って贈らなかったら

親不孝な娘だ。

娘が2人もいて情けない。

私には、

お前は将来子どもたちから無下にされるようになるはずだ、と。

妹には、

子どもがいないのは半人前の人間だ、

だから想像力に欠ける、と。

 


百貨店の商品券を贈った。

百貨店なんか物は高いばっかり。

百貨店に行くのに交通費かかる。

他からも百貨店の商品券もらって、山ほどあって困ってる。

 


途方に暮れ、ようやく落ち着いたのが

母が毎日ほど通うスーパーの商品券。

衣料品も置いてあるし、

服や下着を買うもよし、

日用品を買うもよし、

なんなら豆腐や牛乳や食品にするもよし。

 


これで落ち着いて20年、30年続けた。

父も母も80歳を過ぎた時

もう父の日も母の日も要らない。

長い間ありがとう、と辞退を申し出てきた。

 


長かった母の日プレゼント。

自分はプレゼントが欲しいとは思わない。

娘が覚えていてチョコを買ってきて

2人で食べたのが嬉しい。